講演会:「かごの鳥」から精神国賠訴訟へ~精神病棟40年を経て伝えたいこと~ | 社会福祉法人ビタ・フェリーチェ

  
講演会:「かごの鳥」から精神国賠訴訟へ~精神病棟40年を経て伝えたいこと~
令和7年4月4日『「かごの鳥」から精神国賠訴訟へ~精神病棟40年を経て伝えたいこと~』と題して伊藤時男さん、古屋龍太さんの講演会を開催しました。

 


 
伊藤時男さんは70年を越える人生のうち45年を精神病棟で過ごすことを強いられ、精神国賠訴訟の原告となられた方

講演を聞いていると「なぜ退院の話にならなかったのだろうか?」と思うくらいに、病状は安定していて、「治療の一環」として病院外の工場に働きに出ておられた時期もあったそうです。

工場での仕事が終わって帰る場所は、精神科病棟の病室と言う不思議な生活、いつまでも続く入院…

いつしか「施設病」になり退院の意欲さえ削がれてしまっていたと話されていました

 


 
そんな日本の精神科医療の在り方はおかしいと、不要な長期入院を解消できない国を訴える研究会を仲間とともに立ち上げ、事務局長を経て現在代表を務めておられるのは日本社会事業大学名誉教授の古屋龍太さん

精神保健福祉法にある医療保護入院という仕組みは世界を見渡しても日本にしかないないもので、家族の同意による入院制度がある国があっても司法の判断が入り、日本のように「社会的入院」になることはないそうです

 
 


 
 
精神医療国家賠償請求訴訟の代理人意見陳述で、

「日本は抜本的に入院中心の精神障害者に対する施策を変えることなく、退院や地域医療を支える社会的資源は不足したままの状態が続いています。医療保護入院という、私人が強制的に入院させることができる制度についても、審査が形骸化した状態で(令和元年衛生行政報告)、裁量が過度に広すぎる運用がされています。国は、このような精神障害者に対する基本的な人権が侵害された状況を漫然と放置してきました。

私たちは、この裁判で、この日本の政策の被害者のひとりである原告の訴えを通じて、この国の責任を問います。(抜粋)」と述べられましたが、昨年10月1日東京地裁での1審判決で「原告の請求を棄却」と言い渡されました

 
そして1審判決は不当であるとし伊藤さんは東京高等裁判所に控訴し、これからも長い戦いが続いていきます。

控訴審の原告冒頭意見陳述で伊藤さんは次のように述べておられます。

 
 
「精神疾患があると、閉じ込められても仕方がないのでしょうか。

精神疾患があると、家族のいうことをきかないといけないのでしょうか。

何十年も入院させられ退院できなかったことは、自信がなくなった私のせいのでしょうか。

私と同じような人はたくさんいます。退院できないことを嘆いて自ら死を選んだ入院患者さんも見てきました。

それは決して精神疾患のせいではありません。

この国の精神病院のしくみがどれだけおかしなものであるか、改めて考えていただきたいです。」

 
 


 
 
私たちも日々利用者の方々とのかかわりの中で、意に沿わず入院させられたり、適正な治療が施されているのかよくわからなかったりするようなことを見聞きします。

精神医療国賠の原告である伊藤さん、伊藤さんを応援する古屋さんをはじめとする研究会の活動を岩国からも応援し、日本の精神医療が少しでも変わって人権侵害がなくなることを願うばかりです。

 
 


 
 
 
講演会の翌日、岩国空港から帰られる時間まで、満開の桜を見ながら錦帯橋周辺を散策

満開の桜は伊藤さんや古屋さんをひとときでも労うように咲いていました

 
そして、勝訴を勝ち取るVサイン!

岩国からも応援しています!

 
カテゴリー一覧
月別アーカイブ